狙われし王女と秘密の騎士
第三章
気になる旅人
誘拐事件から一夜。
男性とほぼ同じ部屋で寝泊まりするというのに、私は気にもせずベッドに入るとすぐに爆睡してしまった。
こんなこと、お父様や城の者達が聞いたら卒倒するかもしれない。
仮にも一国の王女。
私だって現状が全て初めてのことばかりだが、咎められても文句は言えないと自覚する。
しかし、警戒心がないと言われるかもしれないが、男と偽っているし、不思議とカイルは大丈夫という安心感があった。
昔から、順応性は高かったが、今回もこれが当たり前であると思ったらすぐに環境に慣れて、割りきるのは早かった。
今までが特別だったのだと、この数日国民の生活を見て理解した。
だから、目の前の男と二人で質素な朝食をとるのも嫌ではなかった。
そして。
私は目の前の男ーーカイルは何者なんだろう、疑問が湧く。
昨日の男たちへの凛とした対応だったり、制圧させちゃうような存在感や威圧感だったり。
普通の人はあそこまで出来たものではない。
カイルよりも年上のお頭達を一瞬で黙らせるのだから。
つまり、ただの旅人には見えない。
それに。
出会ってからまだ日は浅いし、お互いをよく知らないのにカイルは私に着いて一緒に旅をしている。
目的は何だろうか?
ただの興味から?
それとも本当に何か裏があるのだろうか。
しかし、私の正体はバレていないのだからこんな子どもに着いていたってメリットはない。
カイルは一体、何者なんだろう。
「だから、ただの旅人だっての」