狙われし王女と秘密の騎士


身分を明かせたらどんなにいいか。
しかし、今、逃げ出してきたこの状況でそれは出来なかった。
身分がばれたらいつサルドアに捕まるかわからない。


「子猫ちゃぁん」


男達が私に手をかけようとした瞬間。


カンカンカンッ!!
と、とてつもなく大きな音が町中に鳴り響いた。
この音は災害時などに街に知らせる警報音である。
それが突然鳴り響いたのだ。


「な、なんだ!?」


その音に、男どもだけではなく、家の中にいた街の人々もワラワラと外に出てきた。
夜中に鳴り響く警報音に辺りは騒然となる。
あっという間に道は街の人々であふれかえった。

そして、誰かが、あっ!と叫んだ。


「きゃぁぁ!見て!お城がっ!!」
「何だあれはっ!?」


人々が叫び声と共に指を指す方を見ると、そこには……。


「そ、そんな……」


城のあちこちから、国民に見えるようにサルドア国の国旗が立てられていたのだ。
そう。つまりは、エルシールが負けたことを表している。
国民に城はサルドアの手に落ちたと示していた。
街は混乱に包まれる。状況が読めない人々はただ呆然と城を見つめていた。


「お父様………」


お父様。お父様。
お父様はどうなったの!?
ルカは?侍従たちは?衛兵は?
みんな、どうなったの?
気がつけば私は城に向かって走っていた。





< 7 / 201 >

この作品をシェア

pagetop