狙われし王女と秘密の騎士
私達三人は今、エルシール国の検問を抜け出た。
何故かって?
時は数日前に遡る--………
「エルシールを出る!?」
「そうだ。他国へ行き、助けを求める」
「な、なんだぁ!?つまりは亡命しろってことかぁ!?」
お頭の驚いた声が部屋に響く。
ちなみに宿の部屋には三人しかいない。
カイルが場所を変えようと部屋に戻ると、以前から考えていたと話があった。
しかし、亡命っていったってそう簡単には出来ない。
「どうやって国をでるんだ?通行証がないぞ」
そう。他国者のカイルは検問を抜けるための通行証を持っているだろうが、私と頭には通行証がない。お互いに国から出たことはなかったのだ。
それに今サルエルの目が厳しい中、やはり他国へ逃れる者も多いので正当な理由がない限り、そう簡単には手に入らないと町の人達が言っていたとお頭は話す。
「通行証は俺がなんとかする。数日待ってくれ」
「なんとか出来るんかぁ!?すげぇなぁ、カイルさんは!」
お頭は感嘆の声を上げる。
お頭の方が幾分年上だが、なかなかカイルになついているようだ。