狙われし王女と秘密の騎士
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と、まぁ、こんな感じでナリエル王国行きが決まったのだけど。
私は隣の背の高いガッチリした厳つい男を見上げた。
「なんでお頭も着いてくるの?」
「小僧に着いて来たわけじゃねぇよ!」
「お頭の仲間はどうしたの?」
「ふふん。俺様が良いと言うまで待機させている」
胸をはられてもなぁ。
カイルはそんなお頭に苦笑している。
「頼もしいことだ。もしもの時はその仲間を集められそうか?」
「俺様を誰だと思ってるんだぁ!だてに頭はやってねぇぜ!」
お頭は得意げにさらに胸をはる。
確かに仲間からの人望は厚いようだ。
慕われてもいた。多くの仲間は今後、何かあっても力を貸してくれるだろう。
「ナルエル王国まではこの様子だと数週間で着くだろうな」
「俺、初めて行くよ。どんなとこだろう」
遠くの国なんて想像つかない。
どんな国なのか、期待でいっぱいだ。
私がワクワクしているとカイルは“いい国だ”とフワッと笑った。
その笑顔があまりにも優しくて、不覚にも胸がドキッとしてしまった。