狙われし王女と秘密の騎士
本当、カイルって人がよくわからない。
掴めない感じがする。
でも、今はカイルに頼るしかないのだ。
お頭はナルエル王国には行ったことこそはないが、漁師をしていただけもあり、市場には詳しく、人との交渉に長けていた。
衣類の調達、酒場での食事代、宿場の宿代など資金面で高く付かないよう上手く遣り繰りしていた。
「お頭、スッゴイね!宿代値切って、こんな広い部屋を借りちゃうなんてさ!」
私は感嘆の声を出す。
道中で立ち寄った宿でのこと。
お頭のおかげで、三人同じ部屋だが、広い部屋を相場よりかなり安く借りることが出来た。
交渉中は私とカイルは一歩引いて見守っていたが、その会話術は見事なもので、初めは渋った番頭も最後は笑顔で頷いてくれた。
「このくらいの交渉は朝飯前よっ!」
「凄いな」
カイルも驚いて呟く。
あの見事な人と交渉する能力は漁師よりも長けているのではないだろうか。
「さて、風呂でも入っちまうかぁ!カイル!シュリ!いこうぜぇ!」
「えっ」
荷物を置いたお頭は、自分の仕事の達成感から晴れ晴れとした声でこちらを振り向いた。
しかし、それは絶対無理な話だ。
無理でしょう!女だってバレてしまう。
どうしようかと口ごもる。
「俺は……後でいいよ」
「あ?さっさと入れば楽じゃねぇか?」
「あ、うん。でも……」