狙われし王女と秘密の騎士
ゴモゴモと困っていると後ろにいたカイルが私の手元を覗き込んだ。
「お前さ、いつも荷物スッキリまとめられねーだろ。俺を見習えよ」
「よ、余計なお世話だ!」
確かに荷物は小さいのに、その中身はすぐグチャグチャになってしまう。
整理してから寝るのが習慣だった。
カイルは私の頭をポンッとして、「お前は片付けが先だな。すぐにやれよ」と言ってお頭と出て行ってしまった。
その姿を見送り、ホッと息を吐く。
助かった。
いつもはカイルと二人きりだったし、お風呂に一緒に行こうなんてこともなかったから焦ってしまった。
カイルの一言に感謝だ。
そして、はたと気付く。
カイルの一言…?
………………まさかね。
気にしすぎだ。
もしカイルが私のことを女と気がついていたらもっと大事に扱ってくれるはずだろう。
今までのカイルを見て、女性には扱いが優しいと知っている。
女と気付いていたら、今日みたく近道だからといって、山ん中にガツガツ入ったりしないだろう。
あのお頭ですら、息を上げていた。
あれは正直かなりキツかった。
大丈夫。
気がつかれていない。
そう納得して荷物の整理を始めた。