狙われし王女と秘密の騎士
ーー…………
「あら!エルシール王国から来たの?そりゃ遠かったでしょう~?サービスするわね!」
関所を難なく越え、とりあえず一休憩として入ったお店のおばちゃんが笑顔で奥に消えていった。
店は賑やかだ。町自体がそこそこ活気に満ちている。
ここの町の領土は実はサルエル王国の一部だ。
エルシールや他国に囲まれている町だか領土権はサルエルのものであるのだから驚きだ。
聞いた話だと、その昔は元は隣接する他国の領土だっだが戦に敗れた。当時の王は国の大部分を手離すくらいならと、この町をサルエルに手渡すことで戦は終戦したらしい。
しかし、この町は本土と領土が離れているためか、比較的自由な雰囲気がある。
「活気があるなぁ!サルエルは民に対しての諸々の規制が厳しいって聞いてたぜぇっ!もっとお固いイメージだったけどなぁ」
「ここは本土と少し離れているからな。エルシールとナルエルの情報や交流もそこそこある。サルエルからの直接的な厳しい監視も少ないから雰囲気は違うかもしれない」
「……ふぅん」
私の不機嫌な低い相槌にカイルは頬杖をつきながら苦笑する。