私の好きなヒト。
初めての出会いで敬真君の前でビンタされるなんて、あたし運がついてないのかも…と今になれば思う。
頬にそっと自分の手を当てると、やっぱり敬真君も頬が気になるようだ
「本当大丈夫?愛美にちゃんと謝らすから…」
「いえ。もう痛みも引いたし…それより、愛美さんと何かあったんですか?」
他人のあたしが首を突っ込んでもいいのかな。
それとも話に深く突っ込まない方がいい?…
敬真君は表情をやはり一変させて、黙り込んでしまう。
余計に悪い気させちゃったぁ…
とあたしも沈んでいると、敬真君はチラッとあたしの顔を見る。
「ん…?」
首を傾けると急にあたしの横髪に手を触れた。
そして悲しそうな顔をする…どうしてなの?
ここから先は、きっと踏み込んではいけないんだ…と何となく察知して、これ以上お互い何も発しなかった。