私の好きなヒト。
あんなに幸せそうで優しい顔をしていた敬真君にも、辛い何かを背負ってる。
あたしだけじゃないんだ。
「…じゃ、ありがとうございました!」
「えっ」
これ以上敬真君といると、悲しませると思って無理して笑顔を作るあたし。
軽く頭をペコッと下げると資料室を逃げるように去る。
これでいいんだよね?きっと愛美さんとあたしが重なって見えて苦しいんだと思う。
敬真君と愛美さんは恋人でトラブルがあったのかな?
愛美さんはすごく泣いていたし、敬真君は何か言おうとしたのかも知れない。
まぁこれ以上口出すわけには行かないもん…
「あれ?七瀬っ」
「…へっ?」
帰ろうと、1階の廊下を歩いていると誰かに声をかけられて振り返る。
と…