私の好きなヒト。





「遊佐!」




そこにいたのは保健室の担当をしている男の先生。




皆"遊佐、遊佐"と口々に呼び捨てで呼んでいたので、あたしも呼んでいる。




てか、前に保健室でお世話になったから結構仲が良い




遊佐は黒ぶちの眼鏡を外して、あたしに手を振っているようだった




20メートルぐらいの廊下の先に保健室があって、その窓から顔を出している遊佐。




「お前がこんな時間まで居るなんて珍しいな~!」




あたしに聞こえるように大声を出している。




まだ帰る気分でもなかったので、遊佐のいる保健室へと駆け寄るあたし。




鍵を閉めていた扉は、遊佐の手で開けられ、あたしは入る。




「ちょっと資料室に居ただけ」




「おいおい。資料室は生徒立入り禁止じゃねーの?」




普通の先生よりは、フリーダムの性格をしている遊佐は、叱りもしない。




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