私の好きなヒト。





あたしにそう言うと、遊佐は急いでタオルや氷袋などを用意している。




愛美さん…




あたしに気づいたのか、愛美さんは一直線にあたしの元に歩いてきた。




まるでさっきのビンタする前触れ…




「愛美さん…っ?」




さっきよりも高く左手を上げて…




バチンッ




右頬に叩かれた時よりも、大きな鈍い音がして左頬が物で殴られたように痛みが走る。




愛美さんが近付いた時に立ち上がったあたしは、叩かれた衝撃で勢いよく床に座り込んでしまう。




「痛い…っ」




思わず声が漏れる。視界がどんどん潤んできて、仕舞には大粒の涙が溢れ出した。




愛美さんはそんなあたしを見ながら涙が枯れたのか、今度は鼻でフッと笑っている




「おい?!」




奥の部屋でバスタオルを持ってきた遊佐があたし達に気づいて駆け寄ってきた。




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