私の好きなヒト。
「千崎何してんだよっ?」
愛美さんは千崎愛美と言うらしい。
崩れているあたしを見て、勘を察知した遊佐は愛美さんに問いかけている。
「この女が私の彼氏を…」
「七瀬が?お前何かしたのか?」
次はあたしを見ている遊佐。
何で二回も殴られちゃってるんだろう、あたし…自分がバカみたい。
ゆっくり立ち上がったあたしは、少し身長の高い愛美さんを見上げた。
「あたしは何もしてません。愛美さんは勘違いしてるんですよ」
「何言ってるのよ?ふざけないで!!」
ドンッと両肩を押されて、バランスが崩れるあたしは精一杯身体を耐えた。
これじゃ、何言っても言い訳にしか聞こえないのかな…
「とりあえず…奥の部屋で身体拭いて来い。予備の体操服に着替えろよ」
遊佐は愛美さんにバスタオルを渡した。