私の好きなヒト。
「お前…愛美?」
俯いて目を瞑っていたあたしに、その人が問いかけてくる。
若い声で思わず顔を上げるとその男はじっとあたしの顔を見た
どう見ても先生にしては見た事もないし、若すぎる…?
って事は生徒?
泣いたボロボロの顔を見られるのが嫌で、咄嗟に目線をずらした。
「あ、あのっ…」
「なぁ~んだ、愛美じゃねーじゃん」
見知らぬ人にそう言われて、あたしはグスンと鼻をすすり首を傾げた。
黒色の髪に可愛らしい目、何もかも顔のバランスが良くて羨ましいくらい。
こんな生徒あたしの学校にいたのかな…と疑うくらいだった
愛美という人物は見当たらなかったけど、彼女か誰かだと勘が働いた。
「あの、誰ですか?」
涙ぐむあたしは彼にたずねた。