私の好きなヒト。
すると彼は少し長い前髪を掻き分けてしゃがみ込んだ。
「お前こそ誰?こんな所で泣いてどーした?」
今気付けば明らかにあたしって変な人だよね
こんなホコリまみれの資料室で一人座り込んで泣いてるんだもん。
本当高校生には思えない程自分って子供に感じた
「ちょっと事情が色々あって…」
「事情?」
真っ直ぐあたしの目を離さない彼は、自分の事よりも他人の事を大事にする気持ちがあるんだと思った。
こんな所にいる彼も不思議だけど
「いえ、大した事ないんで大丈夫です」
「そぉ?抱え込むと楽になんねーぞ」
ニッと笑った彼のハニカム顔が心をズキンと刺す。
この人は毎日が楽しいんだろうなぁって。
悩みなんかなさそうなんだろう…そう思ったのはこの瞬間だけでした。