信じられる人へ
君と知り合い、一年が経つ頃、それはクラス替えの時期でもあった。
2年目のクラスメイト。
それは、運命が回りだしたことを意味した。
何が事のきっかけだったのだろうか。
ファッション?
歌手?
キャラクター?
お菓子?
幾多もの言葉が頭の中に浮かんでは消えてゆく。
どれも違う。
ただ一つだけ、忘れられた記憶。
その部分だけが、2人の関係の空欄になっていた。
でも、その記憶と引き換えに、私たちはお互いを手に入れたんだ。
私は今でもそう思ってるよ。
あれは5月の頃だろうか。
君と河原に可愛いサンドイッチのお弁当を自転車に乗せて散歩に来た。
君と掛け合った水は、冷たくて、素肌をしんみりと湿らせていった。
今だって、忘れることなく覚えてるんだ。
2人の記憶を。