野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
次の日からあたしは健太と毎日のように遊んだ。
「ねぇ、このボール何? はじめて見るんだけど」
「ああ、このボールは軟式野球で使うボールだよ。高校野球やプロ野球で使うボールより小さくて柔らかいんだ。
中学まではこのボールを使うんだよ」
「へー、けんたって物知りだね」
「まあね。何でも聞いてよ」
「じゃあ、トトロの歳は?」
「それは…、わかんない」
浜辺で遊んだり、浜辺で拾った軟式の野球ボールをあの絶景ポイントにある境内でキャッチボールをしたり。
時には地元の子たちと大勢で遊んだりした。
学校もひと学年一クラスしかなくて、登下校も一緒で、
家に帰ってからも健太とばかり遊んでいた。
健太を中心に友達も増えて、女子の友達もできた。
でもやっぱり気付くと隣にいたのは健太で。
毎日毎日笑って、健太と過ごす日々が楽しくて楽しくてしかたがなかった。
だからあたしは疑わなかったんだ。
こんな日々がずっと続くんだと。
けれど小学4年になり、健太が地元の野球クラブに入ったことをきっかけに、
あたしの環境は全く違うものになってしまった。