野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!

次の日からあたしは健太と毎日のように遊んだ。



「ねぇ、このボール何? はじめて見るんだけど」


「ああ、このボールは軟式野球で使うボールだよ。高校野球やプロ野球で使うボールより小さくて柔らかいんだ。
中学まではこのボールを使うんだよ」


「へー、けんたって物知りだね」


「まあね。何でも聞いてよ」


「じゃあ、トトロの歳は?」


「それは…、わかんない」




浜辺で遊んだり、浜辺で拾った軟式の野球ボールをあの絶景ポイントにある境内でキャッチボールをしたり。


時には地元の子たちと大勢で遊んだりした。


学校もひと学年一クラスしかなくて、登下校も一緒で、
家に帰ってからも健太とばかり遊んでいた。

健太を中心に友達も増えて、女子の友達もできた。

でもやっぱり気付くと隣にいたのは健太で。

毎日毎日笑って、健太と過ごす日々が楽しくて楽しくてしかたがなかった。


だからあたしは疑わなかったんだ。

こんな日々がずっと続くんだと。


けれど小学4年になり、健太が地元の野球クラブに入ったことをきっかけに、
あたしの環境は全く違うものになってしまった。


< 12 / 49 >

この作品をシェア

pagetop