野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!

「ありがとうございましたー」



涼しかった店内から一転。


生ぬるい空気が肌にまとわりつく。


うひゃー。
あり得ない。


家に向かって歩く途中、喉の渇きと暑さに我慢できなくて、買ったペットポトルの1つを手にしてキャップをひねった。


8時過ぎの住宅地。

あたしは周りに人気がないことを確認してから炭酸飲料を豪快に流し込んだ。



ゴクッゴクッゴクッ


冷たい炭酸飲料が口を通り、喉を通り、胃袋に到達する。

渇いていた喉も体も満たされ、



「くっはぁーーー」



漏れる声は中3女子とは思えない、家族以外には聞かれたくない豪快な声。


でも今は気にならない。
だって周りには誰もいないのだから。


これよ、これ。
夏の夜は炭酸ですよ!


だから油断していた。

まさか、



「よう、そこのオッサン」



真後ろに健太がいたなんて。


肩をビクつかせて振り返り、そのまま固まってしまう。



「ごめん、びっくりした?」



夏の制服姿に大きな四角いバックを肩から提げた健太。


い、今の声、聞かれてた…?

健太、オッサンって言ってたよね…?

たった今の自分の行動が蘇り、



かぁぁぁぁ…



込み上げてきた羞恥心に一気に体温上昇!!


あり、ありえない…。


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