野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
サイテーな現場
「あら、すごーい。さすが健太くんね。……うん、うん。あら、うん、ほんとー?」
あたしはアイスをかじりながら、電話で話すお母さんの会話を2階で立ち聞きする。
電話の相手はたぶん健太母の美智子おばちゃん。
会話の内容からして健太のチームは今日も勝ったらしい。
勝ったことが分かればそれでいい。
音を立てずに自分の部屋に戻ろうとした時
「健太くん今日も勝ったってー」
ギクッと体を震わせ下を覗くと電話を終えたお母さんがあたしを見上げていて
「そんなに気になるなら美和も応援に行けばいいのに」
ニヤリと意味ありげな顔を向ける。
「別に関係ないし」
「素直じゃないわねー」
「…うっさい」
お母さんの言葉にツンとして部屋のドアを閉める。
今更応援になんて行けるか。
それに応援に行っちゃうほど健太も野球も許したわけじゃないし。
ツンっとして勉強机に腰掛ける。