野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
「ねぇお母様、麦茶もないんですけどー」
朝の8時。
冷蔵庫を開けたあたしの視線の先にいるのは流し台に立つお母さん。
炭酸は100歩譲ったとしてもこの真夏に麦茶もないなんて一大事ですよ!
というか飲み物らしきものも見当たらないのですが!!
「ごめんね、麦茶も切らしちゃったのよ。スーパーに行った時に買ってくるから今はお水で我慢して」
「えぇーー。無理、無理。麦茶ーー」
と駄々をこねてみるものの、それぐらいでうちのお母様が動くはずもなく、流し台で洗い物を続けるだけ。
「コンビニ行ってきます…」
結局はこうなる。
まだ上昇しきってない太陽だけれど、日焼け止めをしっかり塗って外に出た。
「美和ちゃーーーん」
「美智子おばちゃん?」
家の柵をしていると手を振りながら走ってくる美智子おばちゃんの姿があった。
あたしもおばちゃんに駆け寄る。
「どうしたの?」
「はぁーー、間に合って良かったわ。これを、美和ちゃんに」
膝に手をついて肩を上下させる美智子おばちゃんから受け取った物は
「お守り?」