野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
興奮気味のあばちゃんに圧倒されながらケイタイの時間を確認する。
「おばちゃん、もうこんな時間だけど用事があるんじゃなかったの?」
ケイタイ画面をおばちゃんに向けると、おばちゃんは「あら、やだ!」と跳ね返った。
「ケイコさん待たせてるんだったわ! ごめんね、美和ちゃん。お守りよろしくね!!」
お守りを握るあたしの手に力を込めたおばちゃんはクルリと向きを変えてもと来た道を走っていった。
相変わらずちょっぴり強引で忙しない人。
でもどこか憎めないんだ。
あの美智子おばちゃんあっての健太って気がする。
「…さて」
コンビニは後回しで先に学校に向かいますか。
あたしは託されたお守りをポケットにしまった。