野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
『好き』の行方
どうやってこの場所に来たのか覚えていない。
気付いたらあたしは境内前の石段の所に来ていた。
『待っててほしい』
あたしは今まで何を期待していのだろう。
何、自惚れてたのだろう。
よく考えてみれば、あたし、健太の恋愛事情なんてなにも知らないじゃん。
モテることは知ってたけど、そういう噂、1つも聞いたことなかったし。
何より野球バカだから。野球一筋だから、恋愛とか興味がないんだと勝手に思い込んでた。
でもそうだよね。思春期だもんね。
そりゃ好きな子だっていてもおかしくないし、付き合ってる子だって…
もしかして伝えたいことってこれだったのかな。
彼女が出来た~とか?
ははっ…。あたし、何やってんだろ。
目の前の大好きな町。
ここからの風景は何も変わっていない。
町も、空も。
健太と初めてこの場所に来た時と、ほとんど。
変わってしまったのは、あたしたちだね。