野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!

あたしは目を凝らしてよく見る。



「あっ……」



それは折り曲げられて見ずらくなっていたけれど、
山と川をバックにあたしと健太がピースをして写っている写真だった。


見覚えがある。


だってその写真と同じものをあたしも持ってるから。


まだ健太が野球を始める前の夏休み。


うちの家族と水谷家とで山にキャンプに行った時の写真。


その写真をお守りの中に?



「これ以降にお前が写ってる写真がなくてな。
お前が試合応援に来てくれないからこんなみみっちいことするハメになってんだぞ?」



それは健太のせいでしょ。



「人のせいにしないでよ…」


「はは。そーだな」



小さく笑う健太。


何よ。すごく嬉しいじゃない。


そんなことされたらまた自惚れちゃうじゃない。



「で、結局何しに来たのよ。そんなのわざわざ見せにきたわけ?」



喜んでるなんて思われたくなくて可愛げのないことを言ってしまう。


でも健太は気にした様子はなく「んー」と少し唸ってから言葉を続けた。



「そうだな…。俺が1番悲しませたくない奴が悲しんでると思ったら体が勝手に動いてたってのが1番説明がつくかな。
安心させてやらなきゃって、探し回った」


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