野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
「本当は大会が終わってから渡すはずだったんだ」
と言いながら健太はお守りが入っていた逆のポケットに手を突っ込み、取り出す。
それは白くて丸い…
健太は手にしていたそれをあたし目掛けて放り投げた。
「えっ、ちょっ」
全く予想になかった事にあたしはそれを何度かお手玉しながらキャッチをし、改めて確認をする。
軟式の野球ボール?
それは何の変哲もない真新しい軟式野球のボールだった。
何よこれ。
これがあたしに渡したかったもの?
意味がわからない。
何? ふざけてる?
「意味わかんない」
あたしはボールを健太に放り投げた。
「おっ、おま、投げ返すなよ」
なんて言いながら慌ててボールをキャッチする健太。
「意味わかんないもん渡すからでしょ」
「ったく、良く見ろって。ちゃんとキャッチしろよ」
健太はそう言いながらもう1度柔らかくボールを放った。