野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
屋上を目指して階段を上ったはいいものの、昨日入学したばかりで校舎の構造なんて知るはずもなくて、
たどり着いたのは音楽室の前。
「何、美和。音楽室に用事でもあんの?」
なんて健太にも言われちゃって。
あたしは1度健太を睨み付けた後に周りを見渡した。
廊下には人気はない。
あたしは掴んでいた健太の腕を放して健太に向き直る。
やっと本題に入れる。
あたしは健太を睨み付けるように見上げる。
「時間がないからふざけないで答えて」
「どーぞ?」
なんてあたしと温度差がありすぎる声にイラっとするけれど、堪えて言葉を続ける。
「野球はもう辞めたって言ったよね? ずっとあたしと一緒にいてくれるって。あれは嘘だったの!?」
「嘘? 俺嘘なんてひとつもついてないけど?」
「はっ? だってもう野球は辞めたって。それなのにまた始めたんじゃない!」
「ああ。辞めたっていうのは軟式野球。高校でやるのは硬式野球」
はぁい!?