野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
思い出の場所
「はぁー……」
今あたしがいる場所は、小高い土地に建てられた神社前の石段の最上段。
ここからの眺めはこの町も海も一望できる絶景ポイント。
あたしはいつも落ち込んだり物事が上手く運べなかったりするとこの場所に来るんだ。
この風景を見ていると少しだけパワーを分けてもらえるから。
でもパワーをもらえると同時に物寂しさも加わるんだ。
じんわり心に染みてくる寂しさ。
なぜそんな寂しさが加わるのか。
それは認めたくないんだけど、
健太が、
……隣にいないから。
何であんなやつがいなくちゃ寂しいのか。
理由はひとつ。
この眺めを健太といつも見ていたから。