野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!
6歳の夏。
あたしは両親と一緒にこの町に引っ越してきた。
知らない土地に、知らない人たち。
それだけのことが6歳のあたしには怖くって、外に出ることを躊躇われた。
この町に来て数日後。
「美和ー。お友達が来てくれたわよー」
玄関からそんなお母さんの摩可不思議な言葉が聞こえてきたんだ。
友達?
こっちに友達なんていないよ?
首をかしげながらも玄関に向かうと、玄関ドアの前に顔や腕を真っ黒に日焼けした男の子が立っていた。
「なぁ、家の中ばかりにいないで外で遊ぼーぜ」
そう言って白い歯を見せて大きく笑顔を見せた男の子。
「……いや、でも、」
突然のことにどうしていいのか分からずにいると
「いいから、ほらっ」
男の子に腕を強引に引っ張られて靴を履くのもままならないまま、外へと連れ出された。