memory~前世の恋人~【仮】
memory 2 前世
19××年 秋 。
今宵は満月。
月明かりだけで、辺りは照らされている。
すぐ近くの原っぱからは、鈴虫の鳴き声がうるさいぐらいに聞こえる。
「…また、悪い点数とっちゃった」
月明かりに照らされ、大きな影ができている。
その手には、一枚の紙。
「怒られるのは、嫌だな…」
満月に向かって嘆き、手に持っているテスト用紙をくしゃっと丸める。
「…」
丸めたテスト用紙を見つめ、考え込む。
「…バイバイ」
ポイッと草むらに向かって投げる。
「ポイ捨てして、ごめんなさい」
小さな声で謝る。
それと同時に、草むらの中がガサガサっと動いた。
「…なんだよ。これ」