memory~前世の恋人~【仮】
「聞いてるの!?鈴音!!」
ビク
大声に驚いて、体が跳ねた。
「あ…ごめんなさい」
気付くと、目の前には母がいた。
期末テストの結果を片手に持ち、眉間にシワを寄せて剣幕な様子。
「ごめんなさい、じゃないわよ!だから、あなたは頭が悪いのよ」
「母さん…言い過ぎ…」
私の隣にいるお兄ちゃんが、母をなだめている。
「風汰は頭が良いのに、どうしてあなたはバカなのかしたら」
「…ごめんなさい」
お母さんは、私とお兄ちゃんをよく比べる。
頭が良い兄と、バカな妹。
同じ兄妹なのに、どうしてこんなに違うのかー…
「母さん!いい加減にしろよ」
隣に立っていたお兄ちゃんが、いつの間にか私を庇うように前に立っている。
「鈴音なりに頑張ったんだよ。それだけは、認めてあげれば?」
「…お兄ちゃん」
小さい頃から、お母さんに怒られている私を助けてくれる。
「…わかったわよ。風汰が言うなら…」
そしてお兄ちゃんが出てくると、お母さんは弱くなる。
「勉強は、俺が見るから。鈴音、行こう」
お兄ちゃんに腕を引っ張られ、リビングから出て行く。