マザーオブパールの魔法
 「そうだよ!
  降りたら死んじゃうよ!」
私たちは交互に声をかけて、止めさせようとした。
しかし、早苗は手すりに座ったまま、動かなかった。
 「ほっといてよ!
  どうせ、私はクラスの中でも浮いている存在だし、友達もいないし。親にも捨てられたんだよ!」

早苗の気持ち、なんとなく分かる気がする。
その後、なんとか早苗を手すりから降ろし、近くの喫茶店へ入った。
 「どうして自殺なんか・・・。」
私は訪ねた。
 「分からない。何も考えていなくて、気づいたら自殺って言葉が浮かんできて、何の悔いもないしいっそのこと死んじゃおうかって。」
 「さっき、親に捨てられたってどういう意味?」
 「そのまんまの意味。家に帰ったら家族がいなくて、何日待っても帰ってこないの。」
 「それ、分かる。私もそうだった。」
この言葉には、もえと早苗も驚いていた。
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