ますかれーど
ゴン‥ゴン‥ゴン‥



みんなが寝静まったこの夜。

聞こえてくるのは、ザーザーと強く降る雨の音と、ビュービューと吹く風の音。


それを眺めながら、庭全体を一望できるリビングのガラス窓に、おでこを規則正しくぶつけてる私。


特に意味はない。



この規則正しい音の中で、何かわからない違和感を探ってみる。



私は紺野くんが好き。
紺野くんは私の彼氏。

合ってる?



私は玄の妹みたいなもん。
玄は私のお兄ちゃんみたいもん。

合ってる?




あれ?違和感なんてないじゃん。

じゃ、この感じは‥なんだろ?


玄の事を考えるだけで、心臓がズキズキと痛い。



私のコトを知らないって言った玄。

冗談にしては、キツいよーー‥



またズキズキと痛み出す左胸を、ぎゅっとグーで押さえながら、ゴン‥ゴン‥とおでこをぶつける。



あ、あれだ。

お兄ちゃんが妹離れしていくのが寂しい‥?

きっと、そんな感情なんだ、これ。



ね、そうだよね?






結論が出始めたその時、後ろの階段をトントントン‥と降りてくる足音が聞こえた。

この足音はーー‥




その足音は、一瞬だけ止まった。

でも、またすぐに歩き始める。



キッチンで飲み物を取ったらしいその足音は、何事もなかったかのように

いや、むしろ

私の存在なんて見えてないかのように、滑らかに階段を上がってゆく。





パタンと閉まる1番左側のドアの音。


なぜか

きゅんと胸が締め付けられて、苦しくて

その場に立っていられなくてーー‥



しゃがみ込んだ私は、大嵐を起こしている真っ暗な空を見た。




外が滲んで見える。


それは、雨がこのガラス窓を濡らしているから。


ーーー‥だよね?






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