ますかれーど
--玄side--
おー‥
我が妹ながら怖いねぇ。
あれは確実に母さんに似たんだな。
「麗花ー!心ー!ホットケーキ食べるー?」
きっとさっきのレイの怒鳴り声を聞いてたんだろう。
母さんがレイのダークオーラを消しにかかる。
「「たーべるー♪」」
そう声を揃えて叫び返した2人は、ニコニコしてる。
レイの機嫌の悪さはどこへやら。
ニコニコした笑顔が俺に背を向け、弓なりの階段を下ってダイニングへと向かう。
ほら、あいつは笑えるんだよ。
はぁ……。
あんなこと、言うつもりじゃなかったんだけど?
なんか‥
むしゃくしゃしたっつーか、
ズキズキしたっつーか……
ーーっ、とにかく!!
放っとけなくて。
あいつは俺にとって大事な‥妹だから。
腹ん中にいる時から知ってるし。
なぁ‥
お前、いつから泣かなくなった?
最近よく見るのは
悲しい、寂しい、
そんな‥“泣きそう”な顔ばかり。
真っ黒でまっすぐなこけしみたいな髪。
ココロを見透かされるような、蒼っぽい綺麗な瞳。
感情をココロの奥にしまっちまったような、作った笑顔‥。
そんな顔‥すんな。
もっと
放っとけなくなるだろ?
お前のその“泣きそう”な顔ひとつにぎゅっとなって。
お前のその、本物の“笑顔”にホッとして。
お前が居ると、俺は忙しいんだ。
心配なんだよ。
お前は俺の
大事な、妹だから。
大事な‥
“妹”だから?
「くーろーとー?苺たべていいー?」
「バカ兄貴ー!!あたしのチョコシロップ使っただろーっ」
ーー‥妹たちが呼んでる。
この2人の妹たちに
もはや俺の兄貴としての威厳は‥ない。