ますかれーど




ーーーーーー‥





通り過ぎる風に乗せて





‥ーーーー♪





空気に響く低い声で





ーーーーー♪





唄い始めたお父さんの





ーーー~~~♪





その歌声に





ーー~~~~‥♪





流れてゆく感情や、涙や、時を想い





ーーーー~~~~♪
……ーー~~~~♪





私も、重ねて唄いだす。


家族を繋ぐ、
愛するものへと唄う歌。
ーー‥天使の、歌。





この歌が、家族みんなを繋ぎますように。


兄弟も合わせてみーんなの、ココロをひとつに。




お母さんーー‥




ーーーーーーーん!


ーーーぃん!!



唄い終わって、またシン‥と静まり返った中庭に、どこか遠くから声が聞こえた気がするの。

その声は、高いのと少し低いのと2つある。


ガサガサパリパリと、落ち葉を踏み潰すその足音は、少し、急いでるみたいでーー‥



何かを叫びながら、だんだんと近づいてくる。



「お父さん‥」



なんだか恐くって、私はお父さんの上着の裾をぎゅっと掴んだ。



「迎えだ」



お父さんは、また優しい笑みを浮かべながら私の頭をひと撫でし、立ち上がって声のする方に身体を向けた。


まるで、待ってるみたいに。



「しーーーぃんっ」

「しーーんっ!!」



私の、名前?


ハッキリとそれが聞き取れたその時、木と木の間からぬっと出てきた黒い影。

しかも2つ。



「きゃうぁぁあ!」

「わぁあああっっ!!」

「きゃーっ!何ーっ」

「くっくっくっ‥」



響くのは、3つの悲鳴と1つの笑い声。




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