ますかれーど
空間に響き渡るは、楽しく陽気なポレチュカ。
足を鳴らして、手を叩いて、さぁ、テンポの早い2拍子に乗ろう。
仮面を被って声をあげて笑おう。
今宵は楽しいマスカレード。
あなたは、何の格好をしてる?
ーーーーーーー‥
「君はなんでネコなの?」
この人の格好を見れば、頭にネコの耳のついた帽子を被っていた。
「俺たちのクラスのテーマが、アリスなんっす」
「アリス?」
「はい。だから俺には、紫とピンクのしましまの尻尾もついてるんすよ」
そう言って後ろの尻尾を見せてくれた。
ふふ。可愛い。
「銀崎先輩ってさ、」
「ん?」
ポルカの早いリズムに息を切らし、飲み物を取る為に端のテーブルまで来た。
ここは少し静かだ。
「あーそのー‥」
後ろ頭をポリポリと掻きながら、ふぃと視線を外す男の子。
「聞いても‥良いっすか?」
「何を?」
かなり気まずそうに顔を歪ませる彼は、持っていたソーダ水でゴクリと喉を鳴らした。
「紺野とは、その‥別れてるんですよね?」
その瞬間、お腹の奥がクッとキツく締まった。
「なん‥で?」
内臓が締め付けられて、声が詰まる。
「みんな言ってるっす。あいつ、入学した時から先輩ばっかり見てましたから。なのに‥」
悲しそうな笑みを見せるこの人。きっと、彼の親しい友達なんだろうな。
「あいつ‥いつも席、窓側なんす。席替えしてもすぐに変えてくれって必死で。なんでだか分かります?」
ワタシは声が出せなかった。ただ黙って、横に首を振る。
「先輩、よく中庭に居たでしょ?」
今度は縦に首を振った。
「はは。それがさ、夏休み明けの席替えでは、自ら望んで廊下側に行ったんすよ。それからずっと‥廊下側なんす」
陽気なポルカの音色が遠くに聞こえるーー‥
「あいつ、笑わなくなりました」
ーー‥苦しい。
「ねぇ先輩‥もう、駄目なんすか?」
苦しいーー‥
「あいつ、必死に先輩のこと考えないようにしてるっす。でもっ」
ーー‥でも
「会いに行ってやってください」
会わなくちゃーー‥
足を鳴らして、手を叩いて、さぁ、テンポの早い2拍子に乗ろう。
仮面を被って声をあげて笑おう。
今宵は楽しいマスカレード。
あなたは、何の格好をしてる?
ーーーーーーー‥
「君はなんでネコなの?」
この人の格好を見れば、頭にネコの耳のついた帽子を被っていた。
「俺たちのクラスのテーマが、アリスなんっす」
「アリス?」
「はい。だから俺には、紫とピンクのしましまの尻尾もついてるんすよ」
そう言って後ろの尻尾を見せてくれた。
ふふ。可愛い。
「銀崎先輩ってさ、」
「ん?」
ポルカの早いリズムに息を切らし、飲み物を取る為に端のテーブルまで来た。
ここは少し静かだ。
「あーそのー‥」
後ろ頭をポリポリと掻きながら、ふぃと視線を外す男の子。
「聞いても‥良いっすか?」
「何を?」
かなり気まずそうに顔を歪ませる彼は、持っていたソーダ水でゴクリと喉を鳴らした。
「紺野とは、その‥別れてるんですよね?」
その瞬間、お腹の奥がクッとキツく締まった。
「なん‥で?」
内臓が締め付けられて、声が詰まる。
「みんな言ってるっす。あいつ、入学した時から先輩ばっかり見てましたから。なのに‥」
悲しそうな笑みを見せるこの人。きっと、彼の親しい友達なんだろうな。
「あいつ‥いつも席、窓側なんす。席替えしてもすぐに変えてくれって必死で。なんでだか分かります?」
ワタシは声が出せなかった。ただ黙って、横に首を振る。
「先輩、よく中庭に居たでしょ?」
今度は縦に首を振った。
「はは。それがさ、夏休み明けの席替えでは、自ら望んで廊下側に行ったんすよ。それからずっと‥廊下側なんす」
陽気なポルカの音色が遠くに聞こえるーー‥
「あいつ、笑わなくなりました」
ーー‥苦しい。
「ねぇ先輩‥もう、駄目なんすか?」
苦しいーー‥
「あいつ、必死に先輩のこと考えないようにしてるっす。でもっ」
ーー‥でも
「会いに行ってやってください」
会わなくちゃーー‥