ますかれーど
ふわふわする。

変な感じ。

不思議な夢を見ていたからかな?

ココロが‥あったかい。


ねぇ‥

目を覚ましたら、あの夢の頃に戻れるかな?

あの夢の続きから始まるかな?


ヘンに仮面を創ることを覚えてしまったから、

もう

“私”がどこに居るのかわかんないや。


“私”を見つけてくれた紅いあの人は、ワタシ自ら遠ざけてしまったもの。



“私”は‥ドコ?




ーーーー‥ん



呼んでる。



ーー……んた



呼んでるの。
行かなくちゃ。



ーー‥しんた



仮面の準備は出来た?
ほら、行くよ?




ーーーー‥




「心太?」

「ふぁ‥?」


目を開けると、黒いファントムマスクをした紺野くんで視界がいっぱいだった。


「あれ?紺野くん?」

「ふふ。誰だと思ったの?」


紺野くんの膝の上で寝ていたらしいワタシは、ゆっくりと起き上がった。
肩には、紺野くんが着ていたはずの燕尾服がかかってる。


「ワタシ、寝てた?」

「ん。寝てた」

「今、何時?」

「んー‥」


紺野くんは、ポッケから懐中時計を取り出して、「8時半だよ」と教えてくれた。


「えっマスカレード!」

「もうそろそろ、ラストダンスの時間かな?」


もう、そんな時間か。
もっと踊りたかったな。

ワタシが寝ちゃったのがいけないんだけどさ。


「踊りに行く?」

「えっ」

「顔に書いてある」


ふわりと優しく笑った黒い仮面のウサギは、うーん‥と大きく伸びをして立ち上がった。


「あ‥これ、ありがとう」

「寒くない?」


ワタシは笑顔で大丈夫を伝える。


「行こう、心太」


差し伸べられた左手に、ワタシの右手を重ねる。

キュッと指と指とが絡み合って、空気すら入る隙間もない。

ただ隔てるのは、白い手袋のみ。


ピカピカ瞬く星たちや、不思議で不気味な満月を背に、大聖堂の扉をググッと開ける。


すると、いきなり湧き上がった黄色い歓声。

あちらこちらでウサギがどうの、隣に居るのがどうのって言ってる。

そんな波を押しのけてワタシたちの前に立ったのは、ピンクと紫のしましまのネコだった。


「先輩‥」


泣きそうになってるネコに、ワタシはにっこりと笑顔を見せる。

するとワタシの横に居たウサギは、ネコに「どけっ」て蹴りを入れていた。
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