ますかれーど
深紅の仮面




遅ぇんだよ。


もう……遅ぇんだ。



好きだという想いを

砕いて散らしてパンドラに葬った。


その想いは

“愛してる”に膨れ上がって、何度もフタを押し開けようとしたけれど‥



お前は俺から遠ざかった。



お前を笑顔にしたのは、
お前の仮面を砕いたのは

ーー‥俺じゃない。




お前は、アイツと居た方がよく笑う。




魅さんが天使になった、流星群のあの夜。


俺はお前の兄貴で居ようって、パンドラに固く封をした。


押し込められた想いは、箱の底に焦げついて

もう‥

出ては来ねぇ。





なのに、


なのに……っ




なぁ、

ーーー泣くなよ‥っ





深紅の仮面




< 192 / 207 >

この作品をシェア

pagetop