ますかれーど
ーー‥なんで?


わからない

わからない‥




色褪せたココロは
紺色の闇に染まってゆくーー‥




首筋や耳を這っていた舌が、だんだんと下へ降りてきた時‥


ふわっと風の向きが変わり、闇の雲で覆われていた空が割れた。




落ちてきたのは、眩しい月の光。







「くろ‥とーー‥」



無意識に‥出た声。

なぜ玄?


わからない。






「……クロト?」






顔を離し、眉間にしわを寄せて私を覗き込んだ彼。

その瞳は恐いくらいに冷たく、怒ってるように見える。



「誰?それ」



顔の横に肘をついたまま、私を跨いだそのまま。

低く唸るように問う声。



「今、銀崎先輩のナカに居るのは、そのクロトってやつ?」



そう言った彼は、私を抱きかかえながらゆっくりと起こし、

そして背もたれに押し付けるように


深い深いキスを1つ落とした。



「そのクロトってやつが誰でも良いけど‥」



その紺色の瞳はまた妖しく光り、私の背中はゾクリと震える。



「銀崎先輩は、俺のモノ‥」



耳元で囁く彼は強く首筋に噛みつき、吸い上げた。



「これ、俺のしるしね?クロトに見せてあげて」



クスクスと笑う彼は



「じゃあね。気を付けて帰るんだよ?」



と、中庭の出口へと消えていった。





ーーーーーーー‥





あんたは誰?
なんで私に構うの?


わからない。


キスも、それ以上も拒むことが出来なかった。



ただ ただ

“紺”に飲み込まれた“蒼”。



ゾクゾクする声。

ゾクゾクする瞳。


わからない。
わからないーー‥




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