ますかれーど
どんなにココロの中がぐちゃぐちゃだって、ほら‥

顔というキャンバスに笑顔というえのぐを乗せて、

ーーー‥笑って。






「おはようございます、銀崎先輩!具合、良くなったんですねっ」

「おはよう。ん、ごめんね。もう大丈夫だよ」

「おはようございます~♪先輩、首どうなさったんですか?」

「あ、おはよう。んぁー‥ちょっと寝違えちゃって」

「おはよう、銀崎さん」

「あ、おはよ~」

「首、痛そうだね」

「ん~大丈夫。ありがとっ」



やっぱり、湿布は目立つ‥よね。



「心!!」

「麗花♪おはよ」

「おはよじゃないわよっ!ちょっ来て」

「えっ!?なに?」



朝からすごい形相で私を引っ張ってく麗花。


人気のない移動教室ばかりの別館まで来ると、いきなりくるっと振り向いた綺麗な顔。

眉間にシワを寄せて詰めよってきた。



「心‥昨日、何があったの?」

「え?」

「え?じゃないわよ‥」



麗花は、深く息を吐いて再び私を見据えた。



「昨日の夜中、兄貴が迎えに行ったでしょ?」



あ‥えっと、そんな気がしなくもない‥



「兄貴が覚醒した」

「は?」

「その首、例のアイツにやられたんだ?」



麗花はぺろりと湿布を剥がすと、どこか感心したような声を出した。



「結構 強くやられたね。その上からこんなにこすっちゃって‥痛くないの?」



麗花の優しい声。



「ちょっとヒリヒリするけど、そんなに痛くないよ」


「そ?なら良いけど‥」



そう言った麗花は、ふっと口元を緩ませて笑う。



「ふふふ。そっか、そっか♪兄貴が覚醒したぞーぃ♪」



なんか1人で楽しそうだ。



「あ、でも心?」

「なな何!?」



今まで踊り出しそうなくらいににやけてた麗花が、いきなり真顔になるからびっくりしたよ。



「その例のアイツには気をつけなね?」

「あ、うん‥」

「わかってる?飴をもらっても、ついてっちゃダメだよ?」

「わかってるよー」



こうやって、顔の筋肉がおかしくなるまで笑っていられるって、良いよねっ♪



< 27 / 207 >

この作品をシェア

pagetop