ますかれーど
キーンコーンカーンコーン‥


ふぅ。
いつものように優等生として授業を受け、やっと昼休み。


ざわざわと動き出すクラスメート達。



「心!私、購買行ってくるけど何かいる?」

「あー‥プリン!」

「おっけ」



廊下へと出て行く麗花を見送り、机の上の教科書を片付ける。



「はぁーー‥」



出るのはため息。



「はぁ‥」

キャァァァーーッッ!!!!!!!


私の小さなため息なんて、なんかうるさい悲鳴に消されたわ。




ーーーーー‥






「え?えっ?」

「私、初めて見たぁーッッ」

「え?あの1年生?」

「綺麗な顔だよねぇ‥」

「なんで2年の階に居るのぉ?」



「あ、あのっ紺野くん‥だよね?」

「ん?はい♪俺を知ってるんですか?」

「もちろんですっ」

「ふふっねぇ先輩、銀崎先輩のクラス知りません?」





ーーーーーー‥





キャァァァーーって悲鳴がクラスの前まで来たその時、



ーーー‥ゾクッ



背筋が凍りつくこの感覚‥。



「銀崎先輩♪」



呼ばれたその声の方へと顔を向けると、



「あ‥」



青光りするほどの真っ黒な髪。

幼さを残した綺麗な顔。

そして‥深い深い、紺色の瞳。



廊下の窓枠に頬杖をつきながら、誰もが見惚れる程の妖艶さで微笑んでいる彼。



「やっと見つけた」



その高めの声ですら、周りの女の子の瞳をハートにする程に美しい。



「銀崎先輩の教室って、俺の教室の真下なんだ♪」



その妖艶な微笑みを崩すことなく、一歩、また一歩と近づいてくる彼。


教室内にいる男の子も女の子も、廊下に居る人たちでさえ、彼に魅入っているように見える。


キャーキャー声を出す子、卒倒する子、鼻血がたれてる子、まばたきを忘れた子‥それだけこの人のオーラは半端ない。


彼は窓際の私の席まで来ると、窓を開けて外を眺めた。



「ふーん。1コ下でも、中庭は見えるんだね♪」



妖艶なオーラを纏いながら無邪気な笑顔を見せるこの矛盾‥

これが、この人の魅力‥なのかもしれない。


すると彼は、私の首筋をスゥッとなぞり、クスクスと笑ってみせた。



「ちゃんと“クロト”に見せた?」



意地悪く光る、その紺色の瞳に‥


また


私の“蒼”が飲まれそうになるーー‥
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