ますかれーど
「なんで此処に?」



さっきから疑問符だらけの私。

でも、なんとなく‥ハナシは見えた。



「弟が‥ごめんね?」



やっぱり。

紺野会長は、アイツの兄。


アイツの名前は、
紺野 千秋‥か。



「会長、アイツに私に構うなって伝えてください」



アイツが私に構わなくなったところで、私の仮面が砕けてしまったことに変わりはないんだけど。


現状より、いくらかマシでしょ?

すると、「んー‥」と考え込んでしまった会長。そしてーー‥



「無理かも。いろんな意味で」



ふわりと笑顔で断られた。


ーー‥え゙?


麗花もおやじも無反応。この話の終点を知ってるみたいだ。



「な、何でですか」

「だって、僕と千秋は違う家に住んでるから。携帯だってわからないよ?」



少し申し訳なさそうに、
少し楽しそうに?
そう言った会長。



「はぁ‥まぁ深くは聞かないですけど」



誰だって、人に知られたくない家庭の事情ってやつがあるもんね?



「聞かなくて良いの?」



聞いて欲しいのか?



「まぁいいや。とにかく、今 僕と仕事をしていれば、銀崎さんが更に危なくなる可能性が高い」



確かに。私にその気がなくても、あの人たちの頭は正常な判断が出来ないだろう。



「そーゆーこっちゃ♪」



紫藤のおやじは、私の頭をポスンと叩くと、ニィっと笑って見せた。



「気ぃつけろよ?銀崎。オンナはこえーからなぁ」

「なんか、実感こもってるように聞こえるよね?心?」

「まぁな。俺様を取り巻くオンナの戦いを見てきたからよ」



はぁーー‥

ため息をつかせてください。



「ありがと。気をつけるよ」



私は、ははっと笑いながら忠告を素直に受け取った。

すると‥なんだろ?
3人とも、ふわっと笑顔になったんだ。



「そっちの顔のが可愛いよ、銀崎さん」

「災い転じて福となす~ってか?」

「それ、使うとこあってる?」

「気にすんな、紅澤よ♪」



あはははははっ♪


なんか、楽しいかも。



砕けてしまった、
私の‥ずっとずっと
守ってきた

“良い子”の仮面。


砕いたのはアイツ。


アイツが憎い?

ーー‥わからない。



私の頭の中に、

アイツが居ることが


多くなった。


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