ますかれーど
「ただいまー」



学校から10分しか離れていない自宅。

まるで、私があの高校に入る事が分かっていたかのように。


あの高校には、私の両親も麗花の両親も通っていたらしい。


知らず知らずの内に

レールを歩いていたのかな?私。



「お帰りなさい」

「あ、ただいま♪」



日に日にお腹が大きくなるお母さん。

もうすぐ、16歳も離れた兄弟が産まれてくるんだ。



「今日ね、蒼(ソウ)が帰ってくるの♪」



お父さんのことを、今でも名前で呼ぶお母さん。

その可愛らしい顔をパァァっと明るくさせて笑う。



「久しぶりだねっ♪また、麗花ん家でパーティー?」

「うん!着替えたら、一緒に行こう♪」

「はーい」



私は、ニッコリと笑うお母さんに

同じように、ニッコリと笑って返す。







ーーーーーーー‥







パタン‥



ずるずるずるずる



「はぁーーーー‥」



自分の部屋に入って

ドアにもたれて

その場で座り込んで



1番最初にする事は

いつも‥ため息。




どこかイライラするこの感情を、髪の毛をかきあげることで気を逸らす。


お母さん譲りの白くて長い手足と、天然パーマでふわふわした真っ黒な髪。


だいっきらい。


2ヶ月に1度、ストレートパーマをかけてふわふわしないようにしてる。

長いお母さんの髪と比べられたくなくて

コケシみたいに短い、前下がりのクラシックボブにしてる。


真っ白い手足は、太陽のチカラを借りて黒くしようとしてるけど‥

すぐに元に戻ってしまう。





だいっきらい。





「はぁぁぁー‥」



また大きなため息を1つついて、適当に服を着る。


ただ、きっとまたバーベキューだろうから、いつも通り白は避けた。





ーーーーーーーー‥






タンタンタン‥



「お母さーん。準備できたよー」

「はーい。じゃ、行こっか♪」



ニコニコして、楽しそうなお母さん。


私も、ニコニコして隣を歩く。



茜色の空の下。



茜色に染まった






私の‥仮面。




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