ますかれーど

--麗花side--




心はね?

私の妹なの。


産まれた時から隣に居て、ずっとずっと一緒に育ってきた。


私の、大事な妹なの。


まぁ、あの子の方が6ヶ月も早く産まれてるんだけどね?



昔は、あの特殊な瞳の色の所為で、だいぶいじめられてたっけ。

でも、あの子は強いから。殴られたら殴り返して、言われたら言い返して。


……そう。

強すぎるの。



なんでも抱えて

なんでも独りで解決して

なんでもココロの奥に隠す。



強すぎるのよ。

ううん‥強く見せてるだけ。


あのね?あの子には、生きて産まれてくることができなかった兄弟が2人いる。


それは、あの子の所為なんかじゃないと思うよ?

ーーでも、

あの子は自分の所為だと思ってる。

ちょっとした大人の会話を耳にしてしまったのーー‥


看護士さんたちも、悪気はなかった。


でも、子供のココロって、恐ろしく純粋で壊れやすいの。



泣いて 泣いて 泣いて 泣いて 泣いて‥


目を真っ赤にして兄貴と帰って来たあの日から、あの子は変わってしまった。



常に“良い子”の仮面を被るようになったの。


あの子のココロは、あの子が自ら砕いて散らしてしまった。


そして、

見つからないように
探されないように
繋がれないように

仮面の後ろの闇へと封印して‥扉を閉めた。



だから、私たち紅澤兄妹は“心”を見失わないようにしてる。

この瞳で、“心”を見つけられるもの。


でもそれは、あの子を縛り付けてるだけ。

内側に閉じ込めてるだけ‥だったんだよね?




そして数日前


いきなり現れた紺色の瞳の男の子。

心の蒼よりも深い、紺色の闇を持った男の子。


その子は、容易く心のココロにスルリと入って行ったわ。





ねぇ心?

あなたのココロは、

あの子なら開く?

あの子なら、あなたを探し出してくれる?



あなたが外へと歩みを進めるならば、

私は祝福するよ。



『麗花さんが居てくれます』



ははっ。言うねぇ。
嫌いじゃないよ、そういうヤツ。

何より、心が決めたコトだから。

私に口を出す権限なんてないし。



あぁ‥

あの鈍感バカ兄貴が知ったらどうなるかなぁ。


ほんっとにもう‥




なんか、寂しくなってる自分が居るじゃんか。



バカ。



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