ますかれーど
片付けが終わり、もうみんな解散の時。
「心太♪」
門の前の椅子で、ぼけーっとしていた私。振り向くと、彼が立っていた。
「また明日も、迎えに行くねっ」
「うん」
私の頬を撫でながら、瞳を細めて笑う彼。
そして、少し深いキスを何回か落とすとーー‥
「心太は、俺のモノ‥だよね?」
深い深い紺色の闇は、何故そんなに悲しそうなの?
「うん」
そう笑顔で返事をすると、「じゃまた明日ね♪」って帰って行った。
小さくなる背中を見つめたまま、またぼけーっと突っ立っていた私。
「ねぇ心、兄貴 知らない?」
「ふぇっ!?え?玄?見てないよ?」
「そっか。また、みー姉んとこにでも行ったかな?」
あ、みー姉っていうのは、もう1人の幼なじみ。
って言っても15歳も離れてるから、私たち3人の姉さんみたいな存在。
玄があそこへ行くのは、へこんでる時や悩んでる時。
「あ、魅さん大丈夫?」
「ん。ありがとう、レイちゃん」
後ろを向くと、歩くのが大変そうなお母さんがいた。
「帰ろ?」
優しい声で、優しい笑顔でそう言ったお母さん。
私たちは麗花にバイバイして、ゆっくり、ゆっくり‥家まで歩いた。