ますかれーど
例えるならば、

どーーーーん!!

って感じ?


あれからね‥

紺野のお坊ちゃまは、携帯でお電話をされて、おそらくカップラーメンができるであろう時間よりも早く、黒い美しい車が門前へと現れました。

車に疎い私でさえも見たことのあるエンブレム。


なぜか片側にドアが3つもあるその車。

1番うしろのドアを優雅に開く、カッコいいお姉さま。

そして、当然のように車に近づく紺野さま。


私の腰にふっと触れ、乗りなさいって言ってるみたい。



「心太?どうしたの?」



心配そうに私の顔を覗き込む彼に、ハッと我を取り戻す。

固まってた。どうすれば良いのかわかんなかった。
意味不明だった。
ぐるぐるしてた。


そんな‥感じ?



「お乗りくださいませ、銀崎様」



カッコいいお姉さまのその言葉に、「はいっ!!」と何故か元気の良い返事をして、やっとこさ車の中へと入った私。



「……っ!!」



中は、これ車かっ!って思うくらいに広かった。

車自体、あまり乗ったことがないんだけどね。



「広ーい‥」



ひんやりとした車内。中は象牙色で統一された上品なイメージ。

窓にかかっているカーテンは、夕陽を受けてキラキラしている。



「出して」

「かしこまりました」



隣に座った紺野くんが、何やらマイクみたいなやつに声をかけると、足元から渋い男の人の声が聞こえた。


ちょうど真ん中あたりに壁みたいのがあるこの車。

バックは‥どうするんだろうね?



「心太、シートベルトして?」

「え?どこ?」

「ここ」



そう言いながら、私の右上の金具を引っ張ってくれた紺野くん。

カチッ



「おぉ!ありがと」

「ん♪」



優しい彼の笑顔。
車内が広いから、私たちの距離は人1人分くらいある。


でも、真ん中で繋がってるその手。

いつもとは反対の手だから、ちょっとぎこちなく指を絡める。


ひんやりし過ぎたその空間で、紺野くんの手はあったかかった。



「着いたよ」



そう言われて外に出た私。目の前に見えたのは


どーーーーん!!

って感じの豪邸。

いや、城か?


豪邸ならば、麗花の家で見慣れていた気がしてた。でもこれは‥



「麗花ん家の、倍はある……」



恐ろしくバカでかい家に住んでるやつが、ここにも居た。
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