ますかれーど
‥ジャカジャカ

キーキー

ペンペンーー‥



ーー‥~~~~~♪



小さい時から聞いていた三味線の音。

弾いてるのは、いつも拓弥さん。


優しい音色‥ほっとする。



ベンベン‥ベシっ

ペン‥ベシッッ


ーー‥ビーーン‥





ーーーーーー‥




「ーー‥ふぁ?」

「おぁ!おはよ」



完全に覚醒していない瞳をこすってゴロンと見上げる。

すると視界いっぱいに入ってきたのは‥



「‥あ?玄(クロト)‥?居たんだ」

「お前‥それいつも言うよな。いい加減ヘコむよ?」



ははっと柔らかく笑った見慣れた美形。

紅茶色の大きな瞳は、いつも“私”を映してくれる。



「今 弾いてたのって、玄?」

「あ?あぁ」



玄の右側の膝枕で寝ていたらしい私。反対側の膝には、見慣れない三味線があった。



「それ、玄の?」

「そうだけど?」



いつから持ってたんだよ。



「ってか下手すぎ」

「うっせ!」



そう言い放った玄の長い指が、私の頬に触れる。


「ぅぐぎぃーー!」



私の頬を横に引き伸ばして遊んでる玄。



「にゃにしゅんにょにょっ!!」

「てめーが俺の膝で寝てっから足が痺れてんだよ!!仕返しだっ」



そう言って私の頬でぐにぐに遊んでる奴に、私も仕返し。



「どっちが痺れてんだっけ~?」

「うわっヤメろ!」



外に出るとクールフェイスなこいつも、家の中ではこんなんだ。



「ヤーメーテーくださーい!心さまー」



こんなんがモテるらしい。騙されてるよ絶対。



「はぁはぁ。死ぬかと思った‥。ふざけんなっ!!このボケナスがっ」

「んだとぅ!?このおたんこナスビが」



昔からこうやって、2人とも食べられないナスで喧嘩をする。ナスは嫌いだ。



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