ますかれーど
「その前にさ、」
右耳に彼の唇がそっと触れるから、鳥肌が立つくらいゾクリとする。
「いいの?」
スルリと首筋を滑るそれに、ゾクゾクは高まる一方でーー‥
「なに‥が?」
変に声が上擦る。
「帰らなくて良いの?」
「え?」
「いま何時?」
手元の携帯を見れば、もう22時を回っていた。
「うわっ!帰らなきゃっ」
お父さんが行っちゃったから、お母さんはひとりだし、優花さんだってそんなに長くは居ないだろうし‥
急に焦り始めた私は、持っていたものを鞄に投げ入れ、彼の拘束から出ようとした。
するとーー‥
「待って。魅さんにはちゃんと連絡してあるから大丈夫だよ」
「でもっお母さんひとりだから、早く帰らなきゃっ」
「優花さんに頼んである」
そう言って、全く離してくれる様子のない彼。
「離して‥っ」
「ヤダ」
子供のように私に抱きついたままの彼の腕を、一生懸命はずそうとするけれど、やっぱり彼は男の子な訳で‥
「大丈夫だって。今日は優花さんと麗花さんが泊まりに行ってるはずだよ?」
「‥え?」
「電話、してみれば?」
ーーーーーー‥
‥プー、プー、プー
ライトが落ちる携帯を眺めながら、くるりと彼の方へと振り返る。
「くくっなんだって?」
肩を揺らしながらクツクツと笑う彼は、きっと確信犯。
「‥いつの間に?」
「心太が寝てる間に♪」
銀崎家の電話に出たのは麗花だった。
“今から帰る”って伝えるとーー‥
“え?帰ってくるの?”って……。
「どーして泊まることになってるの!?」
「だって、心太いつ起きるかわかんなかったんだもん♪」
あぐらをかきながら、すっごく楽しそうに笑うその顔に、
「うぅー‥」
私は唸るコトしか出来なくて。
「嫌だった?」
「え‥と」
抱きしめられて、このままで居たいと思った。
彼のコトをもっと知りたいと思った。
「心太?」
可愛く上目で覗き込む彼に、私はついにコクンと首を縦に振る。
「やったー♪」
がばっと抱きつきながら「しーんたっ」って嬉しそうに私を呼ぶ彼。
そんな彼を
いつの間にか
“愛おしい”
そう想うようになってたんだ。
右耳に彼の唇がそっと触れるから、鳥肌が立つくらいゾクリとする。
「いいの?」
スルリと首筋を滑るそれに、ゾクゾクは高まる一方でーー‥
「なに‥が?」
変に声が上擦る。
「帰らなくて良いの?」
「え?」
「いま何時?」
手元の携帯を見れば、もう22時を回っていた。
「うわっ!帰らなきゃっ」
お父さんが行っちゃったから、お母さんはひとりだし、優花さんだってそんなに長くは居ないだろうし‥
急に焦り始めた私は、持っていたものを鞄に投げ入れ、彼の拘束から出ようとした。
するとーー‥
「待って。魅さんにはちゃんと連絡してあるから大丈夫だよ」
「でもっお母さんひとりだから、早く帰らなきゃっ」
「優花さんに頼んである」
そう言って、全く離してくれる様子のない彼。
「離して‥っ」
「ヤダ」
子供のように私に抱きついたままの彼の腕を、一生懸命はずそうとするけれど、やっぱり彼は男の子な訳で‥
「大丈夫だって。今日は優花さんと麗花さんが泊まりに行ってるはずだよ?」
「‥え?」
「電話、してみれば?」
ーーーーーー‥
‥プー、プー、プー
ライトが落ちる携帯を眺めながら、くるりと彼の方へと振り返る。
「くくっなんだって?」
肩を揺らしながらクツクツと笑う彼は、きっと確信犯。
「‥いつの間に?」
「心太が寝てる間に♪」
銀崎家の電話に出たのは麗花だった。
“今から帰る”って伝えるとーー‥
“え?帰ってくるの?”って……。
「どーして泊まることになってるの!?」
「だって、心太いつ起きるかわかんなかったんだもん♪」
あぐらをかきながら、すっごく楽しそうに笑うその顔に、
「うぅー‥」
私は唸るコトしか出来なくて。
「嫌だった?」
「え‥と」
抱きしめられて、このままで居たいと思った。
彼のコトをもっと知りたいと思った。
「心太?」
可愛く上目で覗き込む彼に、私はついにコクンと首を縦に振る。
「やったー♪」
がばっと抱きつきながら「しーんたっ」って嬉しそうに私を呼ぶ彼。
そんな彼を
いつの間にか
“愛おしい”
そう想うようになってたんだ。