ますかれーど
ハロウィン‥かぼちゃ‥なるほどね。



「もちろん本物は被らないけどさ、なんかこう‥嫌なんだよねー‥」

「ふふふ‥あはははははははははっ」



ちょっと唇を尖らせてる彼が可愛くて。



「何?なんか笑うとこあった?」



そう言ってる彼まで笑い出す。楽しいっ。



「んでさ、今年のハロウィンは心太も出る?去年は居なかったでしょ?」

「それって、ウチの学校の?」

「うん」



ウチの学校は、とにかくイベントがたくさんある。

進学校なはずなんだけど‥理事長が、そういうの好きみたい。


去年は、音楽祭もハロウィンも出なかった。

出たところで、仮面を被ったままの私じゃつまらないでしょ?ーー興味もなかったんだけど。

でも今年は生徒会役員でもあるしーー‥



「ん。参加する」

「やった♪仮装は何にする?マスカレードにも参加するよね?」



マスカレードっていうのは、仮面舞踏会のこと。

お化けの仮装が終わった後に行われる、夜のダンスパーティー。



「うー‥衣装とかは麗花に相談してみようかな」

「ふふ。楽しみだね」



何にでもなれる仮面舞踏会。

お姫さま?
女王さま?
道化にしようか‥
男装にする?


なんか、わくわくしてきたかも。



「「ごちそうさまでした」」



声を揃えて言ったその言葉に、また2人でふふふと笑う。


すると、それが合図だったかのようにコンコンと扉が鳴り、あのカッコいいお姉さんとスキンヘッドのおじさんが入ってきた。



「心太、この階のお風呂使って良いよ。俺は1階の使うから」



え‥お風呂って、2つもあるもんなの?

とか思いながら、頷く私。



「じゃ、凉(リョウ)頼むね」

「かしこまりました。さ、銀崎様‥」



私は、このカッコいいお姉さんに連れられてダイニングを出た。



「あの、」

「はい?」

「着替えとか、ないんですけど‥」



重要な疑問。学校の体操着はあるけど、下着とか‥。



「あぁ。それでしたら、ご心配には及びません。千秋様のお言い付けで、既に準備しております」



カッコいいお姉さんは、私ににっこりと笑いかけた。



「ところで、銀崎様のお名前は、もしかして“心”様‥ですか?」

「‥?そうですけど‥」


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