ますかれーど
「ははは♪クロと心って仲良いよね」



柔らかく笑いながらダイニングを出てきた拓弥さんは、冷たいココアの入った私のカップを、ガラステーブルに置いてくれた。

牛乳は好き。
でも牛乳が嫌い。

それは、お母さんがいつも牛乳を飲んでいるから。

拓弥さんは、それを知ってる。

違うな。

感じてるんだ‥。



「ありがとうございます。そして、おはようございます」

「ん、おはよう」



私に向けられた優しい笑顔。

うちのお父さんが笑顔を向けるのは、いつもお母さんだけ。




ぐいっ



「おわっ!え?なにすんのよ玄っ」



いきなり二の腕を引っ張られた私。

よろっとしたじゃないか!!



「くろ‥っ」

「ーー‥来い!」

「‥っーー‥」



向こうを向いている玄の表情を見ることはできないけど、


なんか‥



怒ってる?




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