ますかれーど
--千秋side--
『俺のこと、好き?』
心は答えてくれなかった。
困ったようにその綺麗な蒼い瞳を伏せながら、繋いだ手をきゅっと握り返すだけ。
ねぇ心‥
まだダメなのかな?
切なくて 切なくて
愛しくて 愛しくて
苦しくてーー‥
俺は、心の壊れてしまいそうな細い腰を強く抱き寄せ、深い深いキスをする。
何度も 何度も。
少しでも繋がっていたくて。
少しでも触れていたくて。
ーー‥っ
蒼さんとの約束が‥
俺を縛る。
『心の口からお前が“好きだ”って聞いてからだ。
その前に手ぇ出すんじゃねぇ』
初めて見る白い肩
初めて見る鎖骨
初めて見る風呂上がりの濡れた髪
全てが、俺の理性を飛ばそうとする。
だんだん好きになってくれれば良いと思ってた。
思ってたはずなのにーー‥
一緒に居れば居るほど、知れば知るほど
ーー欲しくなる。
こんなに鼓動が早くなるのも、
こんなに欲しいと思うのも、
初めてなんだ。
「ねぇ、心‥
俺のコトを、好きだって言って?」
すやすやと無防備に眠る心の頬に触れる。
白くて、柔らかい。
駄目だ。
無理やりにでも、
今すぐ奪ってしまいそうでーー‥恐い。
俺は、心の唇にそっと自分の唇を重ねると、客間へと移動した。