Friendship《短》
根性無しらしくないその叫び声に振り返ると、ツヨシの拳が目の前にあった。
遠巻きに俺達の様子をうかがっていたクラスメイト達の悲鳴も聞こえる。
皆、俺が殴られると思っただろう。
だけど俺はケンカをしたことはないけれど、運動は得意なほうで。
もっと言えばドッヂボールは大得意で。
だから殴りかかってきたツヨシの拳を、避けてしまったことは条件反射だったんだ。
さらに言えば俺が避けたせいで机に突っ込んでいったツヨシは自業自得だと思う。
暴力はダメだろ、暴力は。
でもそう考えないのがお山の大将。
「おい転校生! お前、覚えてろよ!」
そんないつか聞いたような捨て台詞を残して、ヒジを摩りながら教室から出ていった。
……それ完璧、逆恨みだろ。