Friendship《短》
正直、俺はもう諦めていた。
何時間探しても見付からないお守り。
もう流されてしまったのだろうと、川底を探りながらもそう考えていた。
だからもし今、ノブが涙の一つでも流してくれたら俺はノブを慰めながらも、どこかほっとした気持ちで家路についたに違いない。
だけど……こんな柔らかい声と顔を聞かされて見せられて、家路につけるわけがない。
俺は諦めるなと自分に言い聞かせながら涙を堪えてもう一度、川に入った。
昼間より冷たい川の水に背筋がぞくっとしたけど気にせずに手を突っ込み川底を探る。
「ソラ! 本当にもういいから!」
ノブの辛そうな叫び声。
でも、俺はその言葉が嘘だってことを知っているから。
そんなノブを無視して川底を探った。